キーワードは参加

HEISEI KAIGO LEADERS主催の「Present 11 山崎亮 コミュニティデザインから学ぶ。 地域を巻き込む”参加”のチカラ」に参加してきました。山崎亮さんのお話を聴かせて頂くのは今回初でしたが非常に話が上手、面白い、腑に落ちる部分が多かったです。頭に残ったことを備忘録として羅列しておきます。
※長文です
【システム1とシステム2】

行動経済学では人の意思決定の過程に2つのプロセスがあるとされています。それが「システム1」と「システム2」です。「システム1」は直感に近い判断や感情的な判断を司ります。直感なので瞬間に近いくらい時間がかからないものです。「システム2」は合理的な判断を司ります。合理的論理的思考に基づくので時間がかかります。

「システム1」から「システム2」へ移行するようなアプローチは受け入れやすく、その逆は受け入れ難いとされています。分かりやすい例としてタバコが挙げられていました。イチロー・カワチ先生の著書「命の格差は止められるか」にも挙げられていました。タバコを売る側は「カッコいい」と思うようなCMを作ります。禁煙を推奨する側は「タバコを吸うと肺がんになる」と論理的な根拠を示して宣伝します。どちらが見る者の頭に瞬間的に入るかは明確です。要は「楽しくなければ正しくても受け入れられない」ことが多いということです。
【関心のない人へのアプローチ】

「無理です」とはっきり言ってくれて痛快でした。これは「よそ者がいきなり現れて直接的にアプローチしても無理」という意味です。コミュニティにおけるキーパーソン、つまりそのコミュニティの中で影響力を持つ人にまずアプローチし、そこからキーパーソンの周囲の人にアプローチをし、その波の先にそういった関心のない人がいる、という流れが望ましいのではないかというお話でした。なるほど納得です。数で言うと関心のない人が多いのでついそこへどうアプローチするかを考えがちですが「急がば回れ」ということですね。個人的には、関心のない人へのアプローチとして「生活と結びつける」という方法もアリだなと思います。具体的に言えば食事のような、誰もが生活で必要なことと結びつける方法です。
【グラデーション】

繋がりにはグラデーションがあるという表現がしっくり来ました。強い繋がりもあれば弱い繋がりもあります。個人的には、弱くてもいいのでたくさんの繋がりがあるのが良いなと思います。強い繋がりは災害時などに力を発揮するでしょうが、あまりにも強い繋がりは排他的になる恐れがあるのではないかと思います。「顔見知り」「挨拶をする」程度の繋がりでも充分でしょう。
【コミュニティデザインの流れ】

①その地域のコミュニティを理解する(ヒアリング等)

②担い手としての主体者意識を高める(ワークショップ)

③信頼感を高め組織化する(チームビルディング)

④諸活動のサポートをする

(『イワタ』モデル(^_^;) by 山崎亮さん)

最終的には「自分たちがいなくても住民が自発的に動く」に持っていくことに賛同しました。ついついこちらが主導でやってしまいがちですが、そうやってしまうと「支援する側とされる側」になってしまいます。地域住民が主体的に行動するようにサポートすることを目的することは、自分の考えとも一致したので安心しました。
【とんでもない下準備の量】

上記の①の段階でStudio Lの皆さんは地域での事例を調査します。まずは100の事例をインターネットから拾い上げてA4 1枚のシートに記入していき、次のその中でちょっとおもしろいと思う10の事例について本や雑誌などより信憑性が高い媒体から情報を得てA4 3枚にまとめます。さらにその次に、そのうち「これは面白い」と思う3の事例についてアポを取ってインタビューをし、A4 10枚にまとめます。この仮定から得られる多くの事例や歴史などから、これから取り掛かるコミュニティにどのような策が得策か、愚策かの見通しが出来るとのことでした。新たなコミュニティを作りには既存の事例や過去の事例とその周辺知識など、膨大な下準備が必要なわけです。
【失敗したと思ったことは?】

Q&Aでの一幕。上記流れの②の段階で、ワークショップを開催しても人が来ない、来ても意見が出てこない、話が進まないどうしようと思ったことがあるそうです。取っ掛かりの悪い地域ではこういったこともあるのでしょう。この時どうしたかは添付した写真のどれかに記載してあります。
【パンフレットの作り方】

美術館に行って配架されている全国の美術館のパンフレットを一部ずつ持ち帰り保管、を毎月繰り返して一年間貯めるとかなりの量のパンフレットになります。これをパラパラ見ながら「カッコいい」と思う物に付箋を貼ります。付箋を貼ったパンフレットを参考に、何かイベントなどを行う際にパンフレットを作ります。これを何度か繰り返すことで「良いパンフレット」がどんなものなのかがなんとなく分かってきて、そうなると町中を歩いていて目に入る広告の類を見ても勉強になる、というお話がありました。プロの技術から学び直感的に「楽しそう」「カッコいい」と思えるようなパンフレットを作れるようになろうということですね。つまり上記の「システム1」に訴えかけるパンフレットを自然と作れるようになるわけです。これが出来ればパンフレット以外にも組織内の掲示物などに応用出来ます。
【譜久山病院】

昨年秋頃に開院した病院です。「また来てもらえる病院」にしたいという意見が開設スタッフの1人からあったとのことです。通常は「病院にまた来る」=「病気の治療が必要」ということになるので望ましくない、となりそうなものですが「用がなくても来たくなるような場」にしようと発想を転換して、病院の周囲にカフェや保育園といった「場」が作られていきました。医療従事者だけではこの発想にはなかなか至らないでしょう。
他にもCOOPのトラック運転手の話なども面白かったですね。挙げていくとキリがないのでこの辺で止めておきます。今自分がやっていることのうち「このまま続ければ問題ないこと」と「改良の余地があること」がよく分かりましたので、明日以降に活かしていきたいと思います。


2017年2月20日更新
片岡侑史

片岡侑史 について

総合診療科 医師。病気だけではなく人を取り巻くもの全てを総合的に診て、人が人らしく生き、死ぬことが出来るように支えることを目指す。2017年7月現在、藤沢本町ファミリークリニックにて勤務中。