カテゴリー別アーカイブ: ココロまちスタッフより

在宅医として薬剤師に求めること

7月11日(水)に横浜市泉区薬剤師会から依頼を頂き、薬剤師会の研修で「在宅医として薬剤師に求めること」というタイトルでお話をさせて頂きました。このようなお題でお話するのは今回初めてです。

在宅医としては非常勤医として約1年半、常勤医として約2年という短い期間しかまだ働けていませんが、自分なりに自分自身に対する課題、藤沢市の在宅医療の現状と課題、日本全体の在宅医療の現状と課題を見て、聞いて、考えました。それらを整理しつつより良い方向に持っていくための案を自分なりに考え、独立開業と同時に実行に移しました。今回、その案のうち薬局の薬剤師に提案して実行しているものを紹介させて頂きました。聞き手に同業者がいない条件の中なので割と過激な発言もしましたが、薬剤師の皆様にはかなり共感して頂けたようでホッと胸をなでおろしています。

薬局と薬剤師には処方箋のやり取り以外にも出来ることが沢山あります。その提案をしたくてもできない現状にあり悶々としている薬剤師はきっと少なからずいるでしょう。悶々としている要因うちかなりの割合を、我々医師が占めていることでしょう。自分も在宅医になる前は知りませんでしたし、なってしばらくして実務ではなく本を読んで初めてそういった現状と可能性について知りました。やはり教育の面からアプローチしなければならないなと感じます。

薬剤師は他の専門職同様に高い専門性を持ち、しかもコンビニ以上に沢山あり、毎日多くの人が集まる場所のため予防的関わりや栄養学的なアプローチなど様々な可能性があります。これを促進するような関わりができればと思っています。薬局同士の横の連携も出来ると良いでしょう。そのためにはまず薬局と薬剤師の可能性を多くの人に知ってもらうことが大切だと感じます。

そんなわけで、開業約1ヶ月の大変忙しい時期に講演の依頼を受けたことについて若干後悔した時期もありましたが、終わってみればやって良かったと思います。今まで月1ペースで講演を主とした発信の機会を頂いてきていますが今後も出来る限り続けていこうと思っています。

とりあえず、現時点では執筆依頼1件と講演依頼4件を頂いているので1つずつ余裕を持って資料を作成していきます。今回はだいぶきつかった…

2018年7月16日更新

顔の見える関係を作ろう

昨日は「顔の見える関係を作ろう@藤沢」の第35回定例会でした。今回は初参加の方が6名、その内訳は介護福祉士、看護師、医師、障害者施設職員、作業療法士、鍼灸マッサージ師と多岐にわたっていました。他の参加者も、上記職種以外に管理栄養士、薬剤師、ケアマネージャー、地域包括支援センター職員、歯科医師、歯科衛生士など非常に多彩でした。

今回の勉強会は伏見 康一さんによる発達障害の話でした。

最近いくつかの事件において、マスコミの偏った報道によって発達障害者は犯罪者というレッテルを貼られやすい、大変誤解を招きやすい状況にあります。共生型サービスという単語が独り歩きし中身の伴っていない状況です。字面で理解しても心で納得、落とし込めないと多様性を受け入れることのできる社会にはなりづらいでしょう。やはり教育へのアプローチが大事だなと感じます。毎年伏見さんのお話を聞かせてもらっていますが、聞く度に新しい学びと振り返りを得られて大変貴重な場となっています。自閉症やアスペルガー症候群は特性であって発達障害ではなく、社会や環境によっての二次障害が発達障害であることは大変重要な部分だと思いました。

次回の第36回は毎年人気のお題、藤沢市のCSWの活動についてと生活保護についての2本立てです。鈴木 克典さん主催の藤沢本町学習茶会と共催を予定しています!

2018年7月15日更新

顔の見える関係を作ろう

昨日は「顔の見える関係を作ろう@藤沢」第34回の定例会でした。勉強会のお題は「薬剤師による居宅療養管理指導」で、ガーデン薬局の中村洋明さんにお話して頂きました。

薬剤師による居宅療養管理指導を利用者さんに説明をすると「薬を持ってくるだけなのにお金を取られるのはちょっと」ケアマネジャーからは「介護保険の点数が足りないので無理」という声が聞かれることがしばしばあります。実際には、薬剤師の仕事は薬を運ぶだけではありませんし介護保険の点数がギリギリであるうが利用することは可能です。

在宅医として薬剤師による居宅療養管理指導に求めることには

・病状だけではなく、性格や人生観、価値観、経済面なども考慮した上で医師に処方の提案をする
・エビデンスに基づき薬剤の変更や減量、中止の提案をする
・吸入薬や点眼薬、点鼻薬などのデバイス操作を指導、評価する
・残薬を数えるだけではなく、なぜ残ってしまうのかをともに考えるチームの一員となる
・薬以外に医療材料の提供や日常的に使う介護用品、栄養補助食品などの提案や助言をする

があります。薬局は数こそコンビニと同等かそれ以上にありますが、ここまでできる、やろうと頑張っている薬局は少ないのが現状です。だからこそやろうと頑張っている薬局とは連携してお互いの質を高め合う関係性を構築・維持することで、在宅医療の質の向上と目の前の方への最適な選択肢の提示、人生を支えるお手伝いができると思います。

次回第35回の定例会は毎年恒例のお題「障害福祉サービス」です。講師は伏見 康一さんにお願いしています。

本会は職種領域を超えて緩く繋がり、本音を言い合いモチベーションの向上や知識・技術・情報などの共有、顔の見える関係性を作ることで、目の前の人によりよい提案ができるようにするための会です。参加資格は特にありません。参加してみたいという人はメッセージをいただくか、周りに参加予定の人と一緒にご参加ください。

2018年6月9日更新

全ては目の前の人のために

2018年6月1日
神奈川県藤沢市用田に「ココロまち診療所」を開設しました。

独立開業を考え始めて約4年、決意が固まってから約半年、非常に多くの人の繋がりと支え、助けのお陰でこの日を迎えることができました。「生き辛さ」を抱えた人たちの力になれるよう、医療だけではなく様々な引き出しを持ちつつ楽しく緩く続けていければと思っています。

2018年6月2日更新

社会福祉士の可能性

本日(もう昨日ですが)は神奈川県社会福祉士会湘南東部支部からご依頼を頂き「『地域で最期まで生きる』を支える~在宅医療の現場から社会福祉士に伝えたいこと~」というお題で75分(本当は60分のはずが収まりきりませんでした)お話をさせて頂きました。

社会福祉士の方々を相手にお話をする機会は初めてでしたし、医療職としてお会いする機会の多い社会福祉士は医療機関や介護施設の相談員が多く、他の領域で活躍する社会福祉士の活動を直接は知らない部分もあり、依頼を頂いた時正直言ってどんな内容の話をするか悩みました。

事例を交えて欲しいとの希望もあったので、悩んだ結果自分が一体どうして医師を志したのかから始まり、医師としてどのような軌跡を歩んできたのか、どのタイミングで何を考え何をして、その結果今後何をしていきたいと思っているのか、そしてその軌跡の中で会ってきた印象的な人たちを少し交えながらお話していたらあっという間に時間が過ぎていきました。その後の質疑応答ではとても現実的な、現場で悩みながら奮闘していることが分かる質問が多くありました。

お話の中でも述べましたが、単独の職種や単独の領域で解決できる課題には限りがあります。医師は比較的、場面によっては単独で解決できる課題が多いかもしれませんが高齢化社会ではその場面も限定的です。以前とある医師から「医療をちゃんとやろうとすればするほど、医療以外の繋がりが必要であることに気付く」と言われましたがまさにその通りだと思います。医師になって11年目、その中でこういったことに気付くキッカケを与えてくれた人が何人かいますが、人との繋がりや顔の見える関係が大事であることが、自分の過去を振り返ってみても実感できました。

今日最も伝えたかったことは

・組織や制度の外に出ることの大切さ(組織内、制度内で解決できることには限りがある。窓口に来ることができる人は一握り)
・誰にとっての「支援」なのかを考えることの必要性(ごみ屋敷のごみを片付けることは本当に本人が望んでいることなのか。支援者の思い込みではないか?そもそも本当に「ごみ」なのか?)
・外に出て仲間を探すことの大切さ(1人で出来ることには限りがあっても、人と人との繋がりがあればできることは増えていく)
・専門職の前に人として、まずは味方になること。そして見捨てないこと(押し付けがましい支援は嫌がられる。それを「拒否」と表現することは本当に正しいのか?相手の意識や行動を変容させるには信頼関係構築が必須)

です。もっと話したかったことはたくさんありますが、社会福祉士という「なんでも屋」との繋がりが様々な可能性を生み出すのではないかと思いました。

写真はKuranishi Takaoさんが撮ってくださったものを拝借させて頂きました!

2018年5月20日更新

薬はリスク

5月13日(日)「認知症と薬」というタイトルで約75分間お話をさせて頂きました。参加してくださったのは地域の専門職の方だけではなく、当事者の方や当事者家族の方も半数近くいらっしゃいました。

全ての立ち位置にいる方にお伝えしたかったことは

・薬はリスクとなり得る
・市販薬を服用する前に主治医に確認
・急に状態が変化した場合、薬の影響ではないか?と疑うことが大事(市販薬や、内科以外で処方された薬含めて)
・普段の様子を医療従事者に伝えることが大事

です。
5種類を超えて薬を飲むことで副作用リスク等が高まる恐れがあることが分かっており、認知症の面以外でも「不要と思われる薬を減らす」という視点が大切になります。昔からずっと飲んでいる薬、なぜ飲んでいるのか分からない薬、余っていていつも飲めていない薬は不要である可能性が高いです。

医療によって100%解決しない疾患が増えていく中、相対的に医療の役割は小さくなっています。大きな役割を占めるのは必然的に医療以外の職種であり、多職種連携が必要なのは自明の理です。こういったことを伝える場が少しでもあればと思います。

このような場を与えてくださった株式会社NGUの山出 貴宏さん、川辺文枝さん、山口明美さん、篠田 佳明さん、西田大輔さん、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

2018年5月15日更新

顔の見える関係を作ろう

昨日は自身が事務局の一員を務める「顔の見える関係を作ろう@藤沢」の定例会でした。今回で第33回となります。今回の勉強会は中西 薫さんによるフットケアについてのお話でした。

人間は歩くために、足を歩ける状態に維持ないし改善させる必要があります。フットケア=爪切りと考えられがちですがそれだけではなく、むくみを取るためのマッサージや靴選びの提案、指や踵のケア、小さな傷を早期に発見する、ハンドマッサージによるリラクゼーションなど、できることは多岐にわたります。それらを駆使して信頼関係を築き、足の状態を良い状態に保ち、異常の早期発見と早期対応につなげていくのがフットケアのスペシャリストです。

足を見ることは全ての職種ができることなので(その後の処置は別として)、まずは見るように意識していくことで幅が広がっていくと思いました。

次回は「薬剤師による居宅療養管理指導」について、ガーデン薬局の中村洋明さんからお話をして頂きます。

2018年5月12日更新

顔の見える関係を作ろう

昨日は「顔の見える関係を作ろう@藤沢」第30回の定例会でした。今回の勉強会は鈴木洋子さんによる「訪問栄養指導」でした。

在宅医療の領域において低栄養状態にある方は非常に多いですが、まずそこに気付いていない場面が多いです。低栄養は免疫力の低下、筋力低下、ADL低下、認知機能低下などに繋がり、骨折や認知症の発症、誤嚥性肺炎の顕在化、寝たきりや廃用の惹起、そして入院、入院日数の延長、褥創発生などにつながっていきます。早い話、低栄養があったらそれをどうにかしないといくら機能訓練や薬の調整をしても効果は限定的ということです。

しかしながら長年様々な経験をしながら生きてきた人生の諸先輩方に「指導」をすると「余計なお世話」となることが多いです。ですので、専門性を前面に出さず、信頼関係を構築するところから始めて次に毎日の食事をより良いものにするよう働きかけていくことが大切になると思います。端的に言えば「毎日美味しくご飯を食べているうちに、気付いたら健康になっている」という状態を目指すことが大切だと思います。より健康になるための手段としての栄養指導ですね。同様に医療も看護も介護も全て手段の1つです。

今回も初参加の方が多く、8名もおりました。内訳はケアマネージャー、薬局薬剤師、地域包括支援センター職員、言語聴覚士、訪問診療同行看護師、訪問看護師、施設看護師と多岐にわたっていました。是非とも緩く繋がって、お互いの出来ること・出来ないこと、得意不得意、制度の限界、新しい情報や知識などを知り、顔だけではなく腕や腹も見える関係を作っていけたらと思いました。

次回の定例会は小澤 朋和さんによる歯磨きの話です。

2018年3月10日更新

顔の見える関係を作ろう

2/9は「顔の見える関係を作ろう@藤沢」定例会第30回でした。

今回は初参加が5名、いずれも事務局員ではなく普段の参加者が紹介してくださった方でした。内訳は作業療法士が2名、看護師1名、ケアマネ1名、歯科広報1名と多岐に渡っていました。また、今回は4月に新規の訪問看護ステーションを立ち上げる方が4名もおりました。開設前から既に地域の様々な場所で対人支援を行っている人と顔が繋がることは、質の向上に繋がると思います。参加者も徐々に藤沢市北部から大和市の方が増えてきている印象です。

今回の勉強会のお題は「訪問看護」でした。訪問診療を日々行っていると訪問看護の必要性を切に感じますが、患者や家族からはその必要性を感じていない、重要だと思っていないことが多く、そのギャップに悩まされる場面がしばしばあります。どうやらそれはケアマネージャーや地域包括支援センター職員も感じる場面があるようです。他職種の話を聞くことで視点が増えるという感覚は常に大事だなと思います。

衝撃的だったのが、訪問看護の必要性を主治医が訴える場面の方が少ない、ということ。医師から訪問看護をいれましょう、と説明することが圧倒的に多いものだと思っていただけにカルチャーショックでした。訪問看護指示書の内容をケアマネージャーは見ることができない、ということがケアマネージャーとしては困るというのも今までに無い視点でした。

在宅医としては、医師からケアマネージャーまたは本人・家族に対して訪問看護の重要性・必要性を説明して導入することが多いため、今回のように他職種で意見の交換をすることで「自分にとっての常識は他人にとっての非常識」と感じるキッカケとなり、大事だなと思いました。

次回、来月の定例会は「在宅医療における管理栄養士の役割」について、鈴木洋子さんにお話して頂きます。

2018年2月12日更新

常識を疑うこと

本日は古本さんが主催する「第45回快護幸友会(勉強会の部)」で山出さんの前座として低栄養のお話をしてきました。

●今までの常識を疑うこと
●まず「この人は低栄養ではないか」と疑うこと
●単一の指標で低栄養と確定出来るものではないこと
●単一の職種で解決できる課題とは限らないこと
●常に疑問を持つこと
●勉強し続けること

様々な項目に当てはまることですが、土台として大事な意識だと思います。

後半の山出さんのお話は「シーティング」でした。山出さんのお話を聞くのは3回目ですが、毎回痛快です。今までの常識を疑い、常に疑問を持ち、それを解決するために勉強し続けること。そのスタンスは共通したものでした。

そして根拠のない誤った知識や技術が横行しているために過用誤用を産み、二次障がい三次障がいとしての筋緊張亢進や関節拘縮、そして骨盤の歪みや褥創などの遠因となり、介護する側の負担が増し、何より御本人が非常に辛い思いをするという流れを理解するだけでも、日々の介護方法は変わっていくのではないかと思います。

講演の後に実演があるのは毎度のことですが、実際に自分が経験すると普段行っている介護方法に疑問を持つ良いキッカケだと思います。自分ごとにすることはとても大事ですね。

山出さんの方法が唯一無二の正しい介護方法というわけでは無いでしょう。今後また徐々に変化していくでしょう。昨日の常識は明日の非常識かもしれません。目の前の人がより良い方向へ向かうにはどのようなアプローチが良いのか?を毎日考え続け勉強し続けることが対人支援職として必須の姿勢ではないでしょうか。

個人的に心に残ったセンテンスに「イベント支援ではなく営みの支援」「想いを語るだけではダメ」を挙げたいと思います。在宅医療の世界にいると線や面ではなく点の支援になっていると感じることが多々あります。また様々な講演・研修・書籍で「想い」に触れる部分も多々あります。「想い」だけでは「素晴らしい」「良いことやってるな」で終わってしまい、明日から具体的にどうすればいいのか?を考えるキッカケにならないかもしれません。

これからもご要望あればこういった発信の場面を設けさせて頂けると嬉しいです。主催の古本さん、いつもありがとうございます。堀江 康子さん、写真を使わせて頂きました(事後承諾ですがw)。

2018年1月28日更新